「人の幸せに関われる仕事がしたい」
「初期費用が少なく、始めやすそう」
そんな理由から、結婚相談所の開業を考える方は少なくありません。
実際、副業やセカンドキャリアとして注目されているのも事実です。
しかしその一方で、開業から1年も経たずに静かにやめてしまう相談所が多いことは、あまり知られていません。
大きな失敗をしたわけではなく、ただ「思っていたより厳しかった」という理由で続けられなくなるケースがほとんどです。
なぜ、結婚相談所の開業は失敗に終わりやすいのでしょうか。
それは才能や努力の問題ではなく、始める前に知らずに進んでしまう現実があるからです。
この記事では、「結婚相談所 開業失敗」と検索している方に向けて、多くの人がつまずくポイントや、開業後に感じやすいギャップを正直にお伝えします。
後悔しない選択をするための判断材料として、ぜひ最後までご覧ください。
「開業すれば会員は来る」という大きな勘違い

「人の役に立つ仕事なら、自然と人は集まる」と思ってしまう
結婚相談所を開業しようと考える人の多くは、「誰かの人生に関われる、意味のある仕事がしたい」という気持ちを持っています。この動機そのものは、とても健全で、間違ってはいません。
ただし、その想いが強いほど、「良いことをしているのだから自然と人が来るはず」という思考にすり替わってしまう危険があります。
現実の婚活市場では、悩みを抱えている人は大勢います。
しかし、その人たちは必ずしも「今すぐ結婚相談所に行こう」と考えて生活しているわけではありません。
仕事や日常に追われながら、不安や迷いを抱えたまま、行動できずに止まっている人がほとんどです。
結婚相談所は、必要とされる仕事である一方で、能動的に見つけてもらわなければ存在しない仕事でもあります。
この前提を理解せず、「困っている人がいる=勝手に来る」と考えてしまうと、開業直後から現実とのズレに苦しむことになります。
このズレこそが、結婚相談所の開業失敗を引き起こす最初の原因です。
連盟に加盟すれば集客できるという思い込み
開業前の相談で、非常に多いのが「連盟に加盟すれば会員紹介が回ってきますよね?」という質問です。
しかし現実には、連盟は集客をしてくれる組織ではありません。
連盟の役割は、あくまで会員同士のマッチングを可能にするデータベースや仕組みを提供することです。
「あなたの相談所に入会する価値」を外部が勝手に作ってくれるわけではありません。
この構造を正しく理解しないまま開業すると、
・会員が増えない
・費用だけが出ていく
・話が違うと感じる
という感情が生まれます。
しかし実際には、何かを騙されたのではなく、「集客は自分で作るもの」という認識が抜け落ちていただけです。
この事実を受け入れられないまま時間が過ぎると、「結婚相談所は甘くなかった」という言葉だけが残り、開業失敗の方向に進んでいきます。
ホームページを作れば問い合わせが来るという幻想
結婚相談所を始めると、多くの人が最初にホームページを作ります。
デザインにもお金をかけ、文章も丁寧に考えます。
それなのに、問い合わせは一件も来ない。
これは極めて多い失敗パターンです。
理由は単純で、今の婚活市場では「それっぽいホームページ」は溢れているからです。
親身な対応、成婚までサポート、安心の体制。
こうした言葉は、ほぼすべての相談所が使っています。
婚活者が本当に知りたいのは、
・自分みたいな年齢や状況でも大丈夫なのか
・過去に失敗していても受け入れてもらえるのか
・どんな人には向いていて、どんな人には向いていないのか
といった、より踏み込んだ情報です。
それが書かれていない限り、どれだけ丁寧な文章でも「よく分からない相談所」で終わります。
結果として、アクセスはあっても問い合わせはゼロ。
それが続くことで、「何が悪いのか分からない」という状態に陥ります。
「口コミで広がるはず」がほとんど起きない理由
人とのつながりに自信がある人ほど、「いずれ口コミで広がる」と期待してしまいます。
しかし結婚相談所という業種は、口コミが極端に生まれにくい特徴を持っています。
婚活は非常にプライベートなテーマであり、周囲に勧めづらいものです。
うまくいっていない段階の話を人に共有したくないと感じる人も少なくありません。
さらに、開業初期は口コミが生まれるほどの会員数も実績もないのが普通です。
つまり、口コミが出始める前に、事業の方が先に行き詰まる構造になっています。
この現実を知らずに「そのうち広がる」と待ち続けることは、何もせずに時間を使っているのと同じ状態になり、結果として開業失敗につながります。
「私は売り込みが苦手だから大丈夫」という誤解
営業経験がない人ほど、「私は押し売りしないから信頼される」と考えがちです。
確かに、無理な勧誘は嫌われます。
しかし、売り込まないことと、判断材料を出さないことは全く別です。
結婚相談所では、なぜ今行動したほうがいいのか、なぜこの相談所を選ぶ意味があるのかを、丁寧に言葉にする必要があります。
それを遠慮してしまうと、相手は決断できません。
その結果、返ってくる言葉は決まっています。
「いい話でした」「また考えます」。
この言葉を何度も聞くうちに、「自分には向いていないのでは」と感じ始めますが、実際には性格の問題ではありません。
必要な説明をしていないだけです。
真面目で誠実な人ほど、誰にも知られずに終わる
結婚相談所の開業失敗で最も多いのは、大きなトラブルが起きたケースではありません。
真面目に取り組み、誠実に対応し、問題も起きていないのに、結果だけが出ないケースです。
自分を前に出すのが得意ではなく、目立つことを避け、慎重に運営しているうちに、誰にも知られないまま時間だけが過ぎていきます。
否定されることもなく、批判もされない。
ただ、選ばれない。
この「静かな失敗」こそが、結婚相談所の開業で最も多い失敗パターンです。
思ったより稼げない…最初の資金計画で失敗する
結婚相談所の開業失敗で、精神的にも現実的にも大きなダメージになるのが、お金に関する誤算です。
開業前はどうしても「数名入会があれば生活できる」「副業なら何とかなる」と考えがちですが、実際には想定よりはるかに長い“収益が出ない期間”が続きます。
特に開業初期は、問い合わせがほとんど来ない時期が当たり前のようにあります。
誰にも知られていない状態で、実績も信頼もない段階では、いきなり契約が取れる方が珍しいのです。
その間にも、連盟費、システム費、ホームページの維持費などは確実に出ていきます。
売上がまったく立たない月が続くと、頭では理解していても、心が追い込まれ始めます。
「早く結果を出さないといけない」「無駄なことはできない」という焦りが、判断を狂わせていきます。
本来であれば慎重に見極めるべき相手にも、つい期待してしまったり、相手の迷いを十分に消化する前に話を進めてしまったりすることも出てきます。
その微妙な余裕のなさは、必ず相手に伝わります。
結婚相談所の開業失敗は、単に資金が足りなかったから起きるのではありません。
不安な状態で意思決定をし続けた結果、信頼が積み上がらなくなり、静かに行き詰まっていくのです。
モチベーションが続かず、途中で心が折れる
結婚相談所の仕事は、始めてみて初めて分かる精神的な負担があります。
成果が数字として見えるまでに時間がかかり、その間は「何も起きない時間」が延々と続きます。
ブログを書いても反応がない。
SNSを更新してもリアクションがない。
説明の場を設けても入会に至らない。
こうした状態が数か月続くだけで、多くの人は「自分は間違っているのではないか」と感じ始めます。
営業経験がない場合、特にこの影響は大きくなります。
断られる経験に慣れていないため、一つ一つの不成立を重く受け止め、自分自身を否定してしまいやすいのです。
結婚相談所の仕事は、華やかに見える一方で、実際には孤独な作業の連続です。
誰かに評価される前に、自分自身で自分を支え続けなければならない時間が長く続きます。
この期間を「失敗」と捉えてしまうと、行動は自然と止まります。
実際には準備段階に過ぎないのですが、多くの人がこの段階で「向いていなかった」と結論づけ、開業失敗として終わっていきます。
時代の変化についていけず、選ばれなくなる
婚活の形は、ここ数年で大きく変わっています。
オンラインで情報を集め、比較し、慎重に検討するのが当たり前
になりました。
しかし結婚相談所の中には、昔ながらのやり方に強くこだわってしまうケースも少なくありません。
対面こそが本物、直接話さなければ意味がない、という価値観自体は否定されるものではありませんが、それだけに固執してしまうと、今の婚活者にとっては利用しづらい存在になります。
婚活者は忙しく、心理的にも疲れています。
最初の一歩が重たい相談所ほど、検討の段階で外されてしまいます。
「良いサービスを提供しているのに選ばれない」と感じる背景には、時代とのズレがあることも多く、このズレに気づけないまま運営を続けると、集客は徐々に止まっていきます。
ITや集客を後回しにした結果、誰にも届かない
結婚相談所の経営において、ITや集客は「余裕ができてから取り組むもの」ではありません。
多くの人が勘違いしがちですが、これらは補助的なスキルではなく、最初から営業そのものを担う重要な役割を持っています。
相談所を探している人は、いきなり問い合わせをするわけではありません。
まずは検索をし、複数のサイトを見比べ、情報を集め、安心できるかどうかを確認します。
この段階で目に入らない相談所は、候補にすら上がりません。
・ホームページが検索結果に表示されない。
・訪れても、どんな相談所なのか分かりにくい。
・発信が止まっていて、最近の活動が見えない。
こうした状態は、運営側の事情とは関係なく、相談者から見ると「存在していない」のと同じ扱いになります。
丁寧なサポートをしているかどうかは、知ってもらえなければ評価のしようがありません。
特に注意が必要なのは、「直接会えば良さが伝わる」と考えているケースです。
確かにその通りかもしれません。
しかし現実には、会う前の段階でほとんどの人が判断を終えています。
結婚相談所を探す人の多くは、不安を抱えています。
だからこそ、「分からない」「判断材料が足りない」と感じた時点で、静かにページを閉じます。
会う以前に、比較の土俵から外れてしまっているのです。
ITや集客が苦手であること自体は、決して問題ではありません。
問題になるのは、「分からないから触らない」「難しそうだから後回しにする」という姿勢です。
この考え方が続くと、相談所は外の世界と接点を持てなくなり、誰にも届かない状態になります。
その結果、
こんなに頑張っているのに反応がない
良い仕事をしているはずなのに評価されない
という気持ちが積み重なっていきます。
しかし実際は、評価以前に「見られていない」だけなのです。
ITや集客を後回しにした相談所ほど、この事実に気づくのが遅れます。
結婚相談所の開業失敗は、スキル不足や努力不足で起こるものではありません。
必要な役割を担う部分から目をそらし続けた結果、誰にも届かないまま時間だけが過ぎていくことで起こります。
だからこそ、完璧に理解できなくても構いません。
大切なのは、触り続けること、学び続けること、止めないことです。
それができない限り、どれだけ良い想いがあっても、相談所は選ばれる場所にはなりません。
自分の想いだけでサービスを作ってしまう危うさ
結婚相談所を始める人の多くは、とても真面目で、仕事に対する想いが強い傾向があります。
「中途半端な対応はしたくない」「表面的ではなく、本気で向き合いたい」そんな気持ちを持って開業する人は決して少なくありません。
自分なりに理想のサポート像を描き、どんな言葉をかけ、どこまで踏み込むべきかを考え抜いた上で、運営をスタートします。
その姿勢自体は、決して間違ってはいません。
むしろ、結婚相談所という仕事に必要な資質とも言えます。
ただし、その理想が「相談者の現実」と噛み合っていない場合、どれだけ誠実に対応していても、満足度は上がりません。
結婚相談所を利用する人の多くは、不安や迷い、自己否定を抱えています。
冷静な正論よりも、まずは気持ちを受け止めてほしいと感じているケースも少なくありません。
しかし運営者側が「本人のためだから」「厳しいことを言うのが誠実だ」と考えすぎると、相談者の感情が追いつかない状態が生まれます。
このズレが起きると、
正しいことを言っているはずなのに反応が悪い
真剣に向き合っているのに感謝されない
という違和感が積み重なっていきます。
やがて、「なぜ伝わらないのか」という疑問が生まれます。
ここで多くの人は、二つの方向のどちらかに進みます。
一つは、自分のやり方が間違っているのではないかと過度に不安になり、自信を失い、踏み込んだサポートができなくなる方向です。
もう一つは、自分の考えこそが正しいと信じ、相談者の反応を「理解力の問題」と捉え、ますます頑なになる方向です。
どちらに進んでも、共通して起きるのは、相談者との距離が縮まらないという現実です。
・サービスは提供している。
・サポートもしている。
しかし、相談者の心には届いていない。
この状態が続くと、「良いことをしているはずなのに、なぜか選ばれない」という状況に陥ります。
結婚相談所の開業失敗は、想いが足りないから起こるのではありません。
むしろ、想いが強すぎて、相談者の立ち位置を見失ってしまったときに起こります。
大切なのは、自分の理想を押し通すことではなく、相談者が今どこにいて、何を受け取れる状態なのかを見極め続けることです。
想いは必要ですが、それを一方通行にしない柔軟さがなければ、サービスは成立しません。
自分の想いだけでサービスを作ってしまう危うさに気づけるかどうか。
この一点が、結婚相談所として成長できるか、それとも静かに行き詰まるかを分けます。
開業してから「こんなはずじゃなかった」と感じる瞬間
結婚相談所を開業したあと、多くの人が一度は心の中でつぶやく言葉があります。
それが、「こんなはずじゃなかった」です。
この感情は、ある日突然、 dramatic に訪れるわけではありません。
むしろ、とても静かに、日常の中で積み重なっていきます。
最初に違和感を覚えるのは、開業してしばらく経っても、周囲から何の反応もないときです。
ホームページを作り、連盟にも加盟し、準備は一通り整えた。
それなのに、問い合わせが来ない。
メールも鳴らない。
時間だけが過ぎていく。
この時点では、多くの人が「まだ始めたばかりだから」と自分を納得させます。
しかし、その状態が一か月、二か月と続くと、次第に不安が顔を出します。
次に訪れるのは、やっと来た問い合わせが契約につながらなかったときです。
丁寧に話を聞き、誠実に説明した。
相手も納得してくれたように見えた。
それでも返ってくる言葉は、「とても良いお話でした」「少し考えます」。
この瞬間、多くの人が初めて「努力と結果が結びつかない」現実に直面します。
そして、少しずつ自信が削られていきます。
さらに追い打ちをかけるのが、周囲からの何気ない一言です。
「最近どう?」
「順調?」
悪意はありません。
それでも、うまく言葉が出てこない自分に気づいたとき、心の中で違和感がはっきりとした形になります。
そしてある日、ふとした拍子に思うのです。
こんなに静かで、こんなに孤独な仕事だとは思わなかった、と。
開業前に思い描いていたのは、相談に来てくれる人がいて、感謝されて、少しずつ実績が積み上がっていく姿だったはずです。
しかし現実は、反応のない日々、成果の見えない努力、誰にも評価されない時間の連続です。
このギャップこそが、「こんなはずじゃなかった」という感情の正体です。
ここで大切なのは、この気持ちを持つこと自体が失敗ではない、という点です。
むしろ、ほとんどの人が必ず一度は通る感情です。
問題なのは、この感情を「自分は向いていない証拠」だと勘違いしてしまうことです。
そう思った瞬間に、行動が止まり、発信が止まり、相談所は静かに動かなくなっていきます。
結婚相談所の開業失敗は、多くの場合、大きな事件ではなく、この「違和感」と向き合わないまま時間が過ぎていくことで起こります。
だからこそ、開業前から「こんなはずじゃないと感じる瞬間は必ず来る」と知っておくことが、何よりのリスク対策になります。
失敗している相談所がやりがちな“思考のクセ”
結婚相談所の開業で失敗している人を見ると、やっていないことや足りないスキルばかりに目が行きがちです。
しかし実際には、多くの場合、行動そのものよりも「考え方」に問題があります。
失敗している相談所には、共通した“思考のクセ”があります。
そしてこのクセは、真面目で努力家な人ほど、無自覚のままハマりやすいのが特徴です。
まずよく見られるのが、「うまくいかない理由を環境のせいにしてしまう思考」です。
地域性が悪い、競合が多い、景気が悪い、時期が悪い。
確かにどれも事実かもしれません。
しかし、その考えに思考が固定されると、「今の自分にできること」を探さなくなります。
次第に、行動は止まり、状況を分析しているつもりで何も変えなくなります。
この段階に入ると、相談所は表向きは続いているようで、内側ではすでに停滞しています。
次に多いのが、「勉強すれば何とかなる」という思考です。
セミナーに参加し、情報を集め、ノウハウを学び続ける。
それ自体は決して悪いことではありません。
しかし、学ぶこと自体が目的になってしまうと、現場で試す機会が失われます。
頭の中には知識が増えているのに、現実は何も変わらない。
そして「これだけ勉強しているのに結果が出ない」という不満が積み重なっていきます。
また、「正解が見つかるまで動かない」という思考も、失敗を引き寄せます。
結婚相談所の運営には、絶対に安全な正解は存在しません。
どの施策も、やってみて初めて合うかどうかが分かります。
それにも関わらず、「失敗したくない」という気持ちが強すぎると、選択肢を比較するだけで時間が過ぎていきます。
結果として、何もしないまま数か月、数年が経過し、「結局何も変わらなかった」という結末を迎えます。
さらに厄介なのが、「まだ本気を出していないだけ」という思考です。
今は準備期間、もう少し整ったら動く、本気を出せば巻き返せる。
こうした考えは一見前向きに見えますが、実際には行動を先延ばしにする言い訳になりがちです。
この思考が続くと、「本気を出すタイミング」が永遠に来ません。
相談所は続いているものの、実質的には進んでいない状態になります。
大切なのは、これらの思考のクセが「ダメな人の特徴」ではないという点です。
むしろ、真剣に取り組んでいる人ほど、無意識のうちに陥りやすいものです。
結婚相談所の開業失敗は、能力不足よりも、考え方が固まり、修正できなくなったときに起こります。
だからこそ、自分が今どんな思考で判断しているのかを、定期的に振り返ることが重要です。
思考のクセに気づいた瞬間から、修正は可能です。
自信過剰と孤立が判断ミスを生む
結婚相談所を開業すると、多くの人がこれまでとは違う立場に立つことになります。
自分で決断し、自分で責任を負い、自分の考えで事業を動かす存在になる。
この変化自体は自然なものですが、同時に危うさも含んでいます。
経営者になったという意識が芽生えると、いつの間にか「判断する側」である自分を守ろうとする気持ちが強くなります。
その結果、人の意見を素直に聞き入れにくくなったり、指摘を避けるようになったりします。
特に、まだ実績が十分に積み上がっていない段階ほど、自分の選択を否定されたくない心理が働きやすくなります。
問題なのは、状況がうまくいっていないにもかかわらず、その変化を直視しなくなることです。
・問い合わせが伸びない。
・手応えがない。
改善の必要性は薄々感じている。
それでも、「そのうち流れが変わる」「自分のやり方は間違っていないはずだ」と考え続けてしまいます。
この思考は、一見前向きに見えます。
しかし実際には、判断を先送りにし、修正のタイミングを失わせる原因になります。
結婚相談所の経営は、一人で完結できる仕事ではありません。
市場の動き、相談者の反応、他の相談所の変化。
外の情報をもとに、自分のやり方を調整し続ける必要があります。
ところが、自信とともに孤立が進むと、情報の入り口そのものが狭くなっていきます。
・相談できる相手がいない。
・弱音を吐ける場所がない。
結果として、自分の視点だけで判断を重ねるようになります。
この状態が続くと、現実とのズレは少しずつ、しかし確実に広がっていきます。
そのズレは、すぐに大きなトラブルとして表面化するわけではありません。
・数字が緩やかに下がる。
・相談内容に違和感を覚える。
・選ばれにくくなっている気がする。
しかし多くの場合、それは「一時的なもの」として処理されます。
やがて、気づいたときには修正する余力が残っていない状態になります。
視点を変える気力も、ゼロから見直すエネルギーも失われている。
その結果、「やり切った」という感覚だけが残り、静かな撤退につながっていきます。
結婚相談所の開業失敗は、派手な判断ミスから起こるものではありません。
むしろ、自信と孤立が重なり、「誰にも相談せず、修正せずに進み続けてしまった結果」として起こるケースがほとんどです。
だからこそ重要なのは、自分一人で抱え込まない前提を最初から持つことです。
判断を共有できる環境があるかどうか。
意見を取り入れ、視点を更新し続けられるかどうか。
この姿勢があるかないかで、結婚相談所の運命は大きく分かれます。
良いサービスでも知られなければ存在しない
どれだけ丁寧にサポートをしていても、どれだけ誠実に会員と向き合っていても、その存在を知られなければ、結婚相談所としては「存在していない」のと同じです。
結婚相談所は、相談者にとって非常に慎重な選択を迫られるサービスです。
料金も安くはなく、人生に関わるテーマだからこそ、「なんとなく良さそう」では決められません。
そのため、相談者は必ず複数の相談所を調べ、比較し、時間をかけて検討します。
このとき、最も大きな不安材料になるのが「情報が少ないこと」です。
ホームページを見ても内容が薄い。
最近の発信が止まっている。
何をしている相談所なのかが分からない。
こうした状態は、相談者からすると「実態が見えない」「ちゃんと運営されているのか分からない」という不信感につながります。
本人は丁寧に仕事をしているつもりでも、外から見れば“よく分からない相談所”になってしまう。
このギャップに気づかないまま運営を続けている相談所は少なくありません。
特に多いのが、「今は会員対応で忙しいから発信は後回し」という考え方です。
一見すると正論ですが、発信を止めるという行為は、実質的には営業を止めているのと同じ意味を持ちます。
結婚相談所は、自分から売り込まなくても勝手に人が集まるビジネスではありません。
常に「知ってもらう努力」を続けていなければ、新しい相談者は増えません。
しかし真面目な人ほど、発信や集客に対して後ろめたさを感じやすい傾向があります。
営業っぽいことをしたくない。
目立ちたくない。
人に売り込むのは気が引ける。
その結果、「良い仕事をしているのに、なぜか人が来ない」という状態に陥ります。
やがて、
・こんなに丁寧にやっているのに評価されない
・きちんと向き合っているのに結果が出ない
という不満が心に溜まっていきます。
けれども現実は、評価されていないのではなく、そもそも見られていないだけなのです。
結婚相談所の開業失敗は、派手なトラブルで終わるケースよりも、こうして誰にも気づかれないまま静かに撤退していくケースの方が圧倒的に多くなっています。
だからこそ、「良いサービスを作ること」と同じくらい、「知ってもらい続けること」が重要になります。
この事実から目を背けたままでは、どれだけ誠実で丁寧な相談所でも、結果として選ばれず、消えていくことになってしまいます。
学び続けられない相談所は、必ず行き詰まる
結婚相談所の運営は、一度仕組みを作れば終わるビジネスではありません。
むしろ、本当の意味でのスタートは、開業してからです。
婚活市場は、想像以上の速さで変化しています。
結婚そのものに対する価値観も、年々少しずつ置き換わっています。
相談者が何に不安を感じ、何を重視し、どんな言葉に安心するのか。
これらは、数年前と今とで、決して同じではありません。
それにもかかわらず、「開業時に学んだ知識」「最初に作ったやり方」だけで運営を続けてしまう相談所は、気づかないうちに時代とのズレを生み出していきます。
このズレは、最初から大きな問題として表に出てくるわけではありません。
問い合わせが少し減る。
反応が鈍くなる。
相談内容とズレを感じる場面が増える。
しかし多くの場合、それは「年のせい」「景気のせい」「偶然」だと処理されます。
本当の原因が、学びを止めていることにあるとは、なかなか気づけないのです。
特に注意が必要なのは、「もう基礎は分かっている」という安心感です。
業界の知識もある程度持ち、運営にも慣れてくると、新しい情報を入れる必要性を感じにくくなります。
けれども、その状態こそが、最も危険なタイミングです。
学ぶことをやめた瞬間から、変化は止まりません。
止まるのは、自分だけです。
気づかないうちに、相談者との距離は少しずつ広がっていきます。
そして厄介なのは、このズレに気づいたときには、すでに修正する余力が残っていないケースが多いことです。
集客がうまくいかず、気持ちも疲れている。
手直しが必要なのは理解できるけれど、学び直すエネルギーが湧かない。
結果として、「この仕事は合わなかった」という結論に逃げてしまいます。
結婚相談所の開業失敗は、才能や年齢の問題ではありません。
経験の有無によって決まるものでもありません。
多くの場合、違いを生むのはたった一つです。
変化を前提に考え続けられたかどうか。
学び続ける姿勢を、当たり前として持ち続けられたかどうか。
成婚率が高い相談所や、長く続いている相談所ほど、常に「今のやり方で本当に合っているのか」を問い続けています。
完成したと思った瞬間から、また次の改善点を探しています。
結婚相談所は、人の人生に関わる仕事だからこそ、時代の変化から逃げることはできません。
学びを止めないことは、成長のためだけでなく、失敗を避けるための最低条件でもあります。
結婚相談所の開業に向いていない人の特徴
ここまで、結婚相談所の開業で失敗しやすい理由をお伝えしてきました。
では次に気になるのは、「そもそも自分は向いているのかどうか」ではないでしょうか。
結婚相談所の開業に向いていない人とは、能力が低い人や、努力しない人のことではありません。
むしろ真面目で誠実、責任感が強い人ほど、知らないうちに苦しくなってしまうケースが多いのが現実です。
まず、慎重すぎる人は要注意です。
何かを始める前に完璧な準備をしようとし、「もう少し勉強してから」「もう少し整ってから」と考え続けてしまうタイプは、行動に移るまでに時間がかかります。
結婚相談所の運営は、やりながら修正していくビジネスです。
完璧な状態を待っていると、いつまでもスタートできず、始めたとしても判断が遅れがちになり、結果として失敗しやすくなります。
また、人に遠慮しすぎる人も注意が必要です。
相談者に嫌な思いをさせたくない、断りにくい、強く言えない。
この姿勢は人としては美徳ですが、結婚相談所の運営においては、必ずしもプラスに働くとは限りません。
必要な説明や判断材料を伝えきれず、結果として相手の決断を先延ばしにしてしまうことが多くなります。
さらに、「安定した正解が欲しい人」も向いているとは言いにくいです。
結婚相談所の運営には、絶対的な正解がありません。
集客も、サービス設計も、その時々の市場や地域、相談者の傾向によって変わります。
毎回「これで本当に合っているのか」と不安になり、答えを探し続ける人ほど、動けなくなってしまいます。
そして意外に多いのが、「いい人でい続けたい人」です。
揉め事を避けたい、嫌われたくない、波風を立てたくない。
この気持ちが強すぎると、集客でも発信でも、自分を出せなくなります。
結婚相談所は信頼商売ですが、同時に“選ばれる商売”でもあります。
自分のスタンスや考えを外に出せない状態では、存在していないのと同じになってしまいます。
ここで誤解してほしくないのは、「当てはまったらダメ」という話ではないということです。
向いていない特徴は、知っていれば修正できます。
知らないまま進んでしまうことが、開業失敗につながるのです。
結婚相談所を始める前に、自分の性格や思考のクセを把握しておくこと。
それだけで、避けられる失敗は確実にあります。
それでも結婚相談所を始めたい人が、最初に確認すべきこと
ここまで読み進めて、「正直、思っていたより厳しい」と感じた方もいるかもしれません。
それでもなお、「それでもやってみたい」と思えているのであれば、その気持ちはとても大切です。
結婚相談所の開業は、勢いや憧れだけでは続きません。
だからこそ、始める前に一度だけ、冷静に自分自身と向き合ってほしいことがあります。
まず確認すべきなのは、「すぐに結果が出なくても続けられるかどうか」です。
結婚相談所は、努力がすぐ数字に反映される仕事ではありません。
何も起きない期間が続き、その間も行動し続けられるか。
ここを自分に正直に問いかける必要があります。
次に大切なのは、「期待している理想像が、一度壊れても大丈夫か」という点です。
人に感謝される仕事、やりがいのある仕事、誰かの役に立っている実感。
こうしたものは確かに得られますが、それはある程度積み上がった先に訪れます。
最初から手応えを求めすぎると、現実とのギャップに心が追いつかなくなります。
また、「学びながら修正していく前提を受け入れられるか」も重要です。
結婚相談所の運営には、完成形がありません。
集客のやり方、伝え方、サービス内容。
どれも一度決めたら終わりではなく、何度も調整しながら形にしていくものです。
最後に確認してほしいのは、「一人で抱え込まない選択ができるかどうか」です。
うまくいかない時に誰にも相談せず、自分だけで考え続けると、視野は必ず狭くなります。
結婚相談所を続けられている人ほど、最初から“一人で全部やらない”前提を持っています。
ここで誤解してほしくないのは、これらができていないと始めてはいけない、という意味ではないことです。
大切なのは、「できる・できない」ではなく、「そういう現実があると理解した上で始めるかどうか」です。
結婚相談所の開業失敗の多くは、知らなかったことが原因です。
知った上で選ぶのと、知らずに始めるのとでは、その後の結果は大きく変わります。
それでも挑戦したいと思えるなら、あなたはすでに、失敗を避けるための大きな一歩を踏み出しています。
まとめ
結婚相談所の開業は、始めること自体は難しくありません。
しかし続けること、積み上げることは決して簡単ではありません。
失敗する人の多くは、努力が足りなかったのではなく、最初に想定していた現実と、実際の現実が大きく食い違っていただけです。
このズレを理解した上で準備をすれば、避けられる失敗は数多くあります。
だからこそ、開業前に“厳しめの現実”を知っておくことが、最も大きな成功要因になります。



