結婚相談所を開業したばかりのとき、最も悩むのが「どうやって会員を集めるのか」という点です。
広告やSNSも有効ですが、開業後に安定した集客を実現するカギとなるのが「紹介営業」です。
信頼性が高く、広告費をかけずに見込み客を得られるため、長期的に見れば相談所経営を支える大黒柱になります。
ただし、紹介は自然発生的に出るものではなく、戦略的に仕組みを作らなければ期待できません。
この記事では、紹介営業の具体的な方法や注意点を、実体験に基づいて解説します。
一番、紹介が出るのは成婚者!
結婚相談所で最も紹介が生まれやすいのは、やはり「成婚者」です。
自分自身が結婚できたという成功体験を持つため、相談所の信頼性をリアルに証言できます。
「ここで結婚できたよ」という言葉は、広告よりも強力な説得力を持ちます。
特に、身近な友人や同僚が紹介してくれると、「自分も試してみよう」と背中を押される人は多いです。
つまり、成婚者は広告塔以上の存在であり、彼らをどうフォローするかが紹介営業の要となります。
その中でも女性会員が紹介を出してくれる
成婚者の中でも特に紹介につながりやすいのは女性です。
女性は友人同士で恋愛や結婚の話を共有する習慣があり、「私も相談所に入って結婚したの」と自然に話題に出すことが多いからです。
さらに、女性同士の口コミは信頼性が高く、同年代や同じ境遇の友人に強く響きます。
逆に男性はプライドや恥ずかしさから婚活の経験を口にすることが少ないため、紹介が期待しにくい傾向があります。
したがって、経営者は「女性成婚者をいかに喜ばせ、気持ちよく相談所を薦めてもらえるか」に重点を置く必要があるのです。
男性はほとんど紹介が出ない
男性会員からの紹介はほぼゼロに近いと考えてよいでしょう。
男性は「婚活していたことを知られたくない」「相談所に入っていたことを人に言いたくない」と考える人が多く、紹介行動を起こす可能性が低いのです。
もちろん例外的に紹介してくれる男性もいますが、それはあくまで少数派。
限られた経営資源を効率的に使うためには、男性に対して紹介営業の時間や費用を過剰にかける必要はありません。
むしろ、男性には「成婚後の口コミを出してもらえたらラッキー」くらいのスタンスで捉え、女性や成婚カップルへのフォローを優先するのが現実的です。
成婚者から紹介を出す方法
成婚者から紹介を出してもらうには、「成婚=ゴール」ではなく「成婚=スタート」と捉えることが大切です。
成婚退会後も積極的に関係を築き続けましょう。
例えば、退会後に数か月経ったタイミングでランチに誘ったり、誕生日や結婚記念日にメッセージを送ったり、子どもが生まれたときにプレゼントを届けたりと、細やかな気遣いを見せることです。
こうしたフォローを続けることで、「この相談所には恩があるし、友人にも紹介したい」という気持ちを自然に引き出せます。
また、成婚者との食事やお祝いに多少の費用がかかっても、それは「広告費」と考えれば非常に効率的な投資です。
ランチを1回ご馳走しただけで、そこから新しい入会者が1人でも生まれれば、そのコストパフォーマンスは圧倒的に高いのです。
紹介を生みやすくするタイミング
紹介をお願いするときは、やみくもに頼むのではなく「紹介が出やすいタイミング」を狙うことが重要です。
人は心が動いた瞬間に行動を起こしやすいため、節目やお祝いのシーンで声をかけると、自然に紹介につながる可能性が高まります。
具体的には、次のようなタイミングが効果的です。
成婚退会直後
成婚した会員は相談所への感謝の気持ちが強く、紹介の依頼を受け入れやすい時期です。
結婚式や新居の入居時
幸せのピークを迎えているため、「同じように結婚したい人がいたら紹介してください」とお願いすると効果的です。
子どもが生まれたときや家族イベント
周囲から「結婚したい」「家庭を持ちたい」という声が出やすく、紹介が自然に生まれるきっかけになります。
年末年始や誕生日など、連絡を取りやすいとき
普段は疎遠になりがちな人とも連絡を取りやすく、近況報告をきっかけに紹介の話題につなげられます。
重要なのは「紹介を強引にお願いする」のではなく、「節目を一緒に喜びながら、軽く紹介の話を添える」ことです。
相手が幸せを感じている瞬間に声をかけると、自然と「誰かに教えてあげたい」という気持ちが生まれるのです。
成婚者がいない開業当初の紹介はどうすればいいの?
開業直後には成婚者がいないため、当然紹介は期待できません。その時期に必要なのは「圧倒的な数をこなすこと」です。
友人、親戚、過去の仕事仲間、地域の知り合いなど、あらゆる人に「自分が結婚相談所を開業した」という事実を伝えていきます。
ただし、100人や200人程度に話しても紹介はほとんど出ません。
紹介が発生するのは数の理論であり、最低でも1,000人規模にアプローチする必要があります。
これは決して大げさではなく、現実的な数字です。人は「結婚したい人が身近にいる」タイミングでしか紹介をしません。
そのため、多くの人に声をかけ続けることが、初期の紹介営業において最も重要なのです。
具体的には、SNSでの発信、名刺交換会や地域イベントでのアピール、親しい人への直接のお願いなど、できることを全方位的に行いましょう。
紹介営業の成功事例|開業1年で会員数42名を獲得
ある結婚相談所では、開業当初から積極的に知り合いや友人・仕事関係者に声をかけ続けた結果、わずか1年で会員数42名を獲得した事例があります。
最初はもちろん成婚者がいないため、身近な人への紹介依頼が中心でした。
ポイントは「一度で結果が出るとは思わず、数を打つ」こと。
実際、この相談所では100人以上に開業を伝え、その中から「知り合いが婚活に興味を持っている」「ちょうど結婚を考えている友人がいる」という形で少しずつ紹介が広がっていきました。
結果的に、開業から1年で会員数が42名に到達し、安定した経営の基盤を築くことができたのです。
ただし、ここで忘れてはいけないのは「紹介には運の要素もある」ということです。
同じように声をかけても、相手の周りに婚活希望者がいなければ紹介は出ません。
逆に、タイミングよく結婚を意識している人がいれば、一度に複数名の入会につながることもあります。
つまり、紹介営業は「努力で確率を高めつつ、運も味方につけるもの」と理解しておくことが大切です。
そのうえで、できる限り多くの人に存在を知ってもらい、紹介が生まれる可能性を広げていくことが、開業初期を乗り越えるための最短ルートになります。
そして実際、開業1年目で大きく会員数を伸ばしている相談所の多くは、SNSではなくこのように紹介営業を中心に成果を上げています。
落とし穴も!紹介営業の注意点
紹介営業は結婚相談所にとって非常に有効で、開業初期の強力な武器となります。しかし、いくつか注意すべき点があります。
まず、強引にお願いしすぎないこと。
紹介はあくまで信頼関係の上に成り立つものであり、しつこく頼むと逆効果になり、相手との関係を壊しかねません。
紹介を断られた場合は感謝を伝え、無理に迫らない姿勢が大切です。
また、紹介営業だけに依存しすぎないことも重要です。
確かに開業1年目〜2年目までは紹介で会員を増やすことが可能ですが、紹介には必ず「限界」があります。
知り合いのつながりや成婚者ネットワークにも終わりがあり、ある程度紹介が尽きる時期が訪れるのです。
特に、会員数100人以上を目指す場合、紹介営業だけでは到達が難しいのが現実です。
その段階では、ホームページの整備やSEO対策、リスティング広告などのWeb集客、さらにはSNSや婚活イベントの活用といった「複数の集客手段」を組み合わせる必要があります。
つまり紹介営業は「最初の会員獲得を加速させる手段」であり、長期的にはHPや広告といった仕組みを整えていくことが、経営を安定させるポイントになります。
紹介を依頼するときの具体的な声掛け例
開業当初は、ただ「結婚相談所を始めました」と伝えるだけでは紹介につながりにくいものです。
大切なのは「どのように頼むか」です。
相手に負担をかけず、自然に話せるフレーズを用意しておくと紹介が生まれやすくなります。
例えば、次のような言い方があります。
「もし周りで結婚を真剣に考えている方がいたら、ぜひご紹介いただけると嬉しいです」
「ご本人じゃなくても、知り合いのご家族やお友達に婚活で悩んでいる方がいれば教えてください」
「今すぐじゃなくても大丈夫なので、思い出したときに声をかけてもらえれば助かります」
ポイントは、「紹介してほしい」とストレートに伝える ことと、相手にプレッシャーをかけない言い回しにする ことです。
「誰かを入会させてほしい」ではなく「必要な人がいたら教えてね」という軽さで伝えると、相手も協力しやすくなります。
また、初回の声掛けで紹介が出なくても気にする必要はありません。
後日ふと思い出して紹介してくれることも多いため、相手の記憶に残すことが第一の目的だと考えましょう。
まとめ
紹介営業は、結婚相談所にとって最もコストパフォーマンスが高く、長期的に安定した集客が見込める手法です。
特に女性成婚者は紹介を出しやすいため、彼女たちとの関係を大切にすることが経営の成功につながります。
一方で、男性からの紹介はほとんど期待できないため、経営判断としては女性やカップルに重点を置いたフォロー体制を整えるのが効率的です。
開業当初は紹介がゼロでも落ち込む必要はありません。
1,000人規模で声をかける覚悟を持ち、地道に活動を続けることで、数年後には「紹介が勝手に集まる仕組み」ができあがります。
結婚相談所の紹介営業は短期的に成果が出るものではなく、信頼の積み重ねがあってこそ実を結ぶ世界です。
焦らず、戦略的に「成婚者フォロー」と「数の理論」を両輪で回すことが、長期的な成功のカギになります。